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名刺を切らしても自己紹介を渡せる――TenkaCloud Passport を App Store で公開しました

アカウント登録もサーバーも要らない自己紹介カード TenkaCloud Passport を App Store で公開しました。データは QR のフラグメントに入れて持ち歩き、相手は標準カメラで開くだけ。v1.2.0 ではオンデバイス AI を Apple Intelligence へ全面切替し、モデルのダウンロード工程そのものを製品から消しました。

自己紹介カードアプリTenkaCloud Passportを App Store で公開しました。

何をするアプリか

名刺を切らしたときや、そもそも名刺を持たない場面で、自己紹介を渡すためのアプリです。

流れはこれだけです。カードを作る、QR を表示する、相手が標準カメラで読む、ブラウザで自己紹介ページが開く。連絡先への追加は、そのページのボタンを押した場合だけの任意操作です。

**相手にアプリを入れてもらう必要がありません。**ここが設計の中心にあります。名刺の代わりを名乗る以上、相手側に準備を求めた時点で使われなくなると考えました。

アカウントもサーバーも要りません

登録画面がありません。ログインもありません。

自己紹介のデータは、QR コードが指す URL のフラグメントに入っています。フラグメントはブラウザがサーバーへ送らない部分なので、カードの中身がどこかのサーバーに保存されることはありません。入力した内容は、明示的に保存するまで端末にも残りません。

「無料です、アカウント登録だけお願いします」という体験を避けたかったので、預かるものを最初から持たない構造にしました。

v1.2.0 でオンデバイス AI を Apple Intelligence へ切り替えました

このアプリには、会話で自己紹介を組み立てるエージェントが入っています。以前はモデルを端末にダウンロードして動かしていました。

v1.2.0 で、これを OS 内蔵の Apple Intelligence(FoundationModels framework)へ全面的に切り替えました。効果は機能追加ではなく工程の消滅です。

  • モデルのダウンロード、検証、削除、復旧という一連の工程が製品から無くなりました
  • 対応端末(iPhone 15 Pro 以降かつ iOS 26、Apple Intelligence 有効)では、何も設定せずに AI が動きます
  • Settings からモデル取得や削除、メモリ注意の UI を撤去しました

推論を端末内で完結させ、内容を送信しない性質は変わっていません。Apple Intelligence を使えない端末では、確認済みのテーマから照合して動作し、その旨を会話画面に明示します。

ダウンロード周りの不具合は、以前のバージョンで何度も直していました。直すのではなくその工程ごと無くす判断ができたのは、OS 側に推論基盤が載ったからです。

正直に書いておく制約

リリースノートに書けることと、実際に検証できたことは別なので、現時点の状況をそのまま書きます。

  • 連絡先への追加を確認できているのは iPhone と Safari の組み合わせだけです
  • Android では.vcfをいったん保存してから開く 1 手間が必要で、この経路はまだ未検証です
  • LINE、X、Instagram などの SNS アプリ内ブラウザでは、.vcfの保存自体が失敗する場合があります
  • カードの表示そのものは iOS と Android で同じように動きます

Web 版は初回表示にオンライン接続が必要で、Service Worker による完全オフライン化はまだ対応していません。

なお、リポジトリの Public OSS Alpha はまだBlockedです。必須の実機検証が揃うまで公開しません。ソース自体は読める状態にしてあります。

Web 版から試せます

インストールせずに試したい場合はcard.tenkacloud.com/appを開いてください。ホーム画面に追加すれば、アプリのように起動できます。

データはブラウザの端末内ストレージに保存するので、ブラウザや端末を変えるとカードは共有されません。この挙動も、サーバーを持たない設計の裏返しです。

これから

いま入っている会話エージェントは、自己紹介を組み立てるところまでを担当しています。構想としては、端末内のエージェント同士が接点を見つける段階を置いていて、そのための Pet や Lounge のコードとテストは残したままデフォルト画面から外してあります。

詳しくはランディングページの Roadmap を見てください。まずは「名刺を切らしても困らない」を確実にするところからです。